総合し説明する力
いくつかのアプローチを複合的に組み合わせれば、大抵の問題は解決への緒が見えてきますが、まだ安心はできません。数学的であるとは論理的であるということであり、論理的であるとは誰でも理解ができるということですから、最後には自分が行ったプロセスを総合し順序よく説明する力が求められます。
東京大学が発表している「高等学校段階までの学習で身につけてほしいこと」をご紹介します。数学を学ぶ高校生に期待する力は、次の3つの力であると書いてあります。①数学的に思考する力、②数学的に表現する力、③総合的な数学力。
「数学的に表現する力」について言及されているところを引用します。
数学的に表現する力数学的に問題を解くことは,単に数式を用い,計算をして解答にたどり着くことではありません。どのような考え方に沿って問題を解決したかを,数学的に正しい表現を用いて論理的に説明することです。
総合し説明する力を磨くための最も直接的な訓練は証明を書くことです。ただし、証明は必ずしもエレガントである必要はありません。ハッと驚くような斬新な展開であるよりも、読む人に対する思いやりのある証明こそが、良い証明であると思います。
証明が苦手で何を書いたらいいかわからないという人は、読む人を先生(自分よりわかっている人)とは思わず、自分が教えてあげるつもりで書いてみてください。「あっ、ここは解の公式を使ったことがわからないかもしれないから、『解の公式より』と書いておいてあげよう」というスタンスで、書くのです。そうすれば、しっかりと「行間」が埋まった良い証明(少なくともわかりやすい証明)が書けます。
頭の中で、自分だけが理解している「正しいこと」は、その価値を十分に表しているとは言えません。数学的思考力を完成させるには、「証明の正しさ」をお互いに理解することです。その力を社会に役立てるためには、受け手を想像し、受け手に対する思いやりを持つことも必要であると私は思います。個別指導塾で説明する力を養ってください。